健康維持やダイエットに良いイメージのある玄米ですが、実際カロリーや糖質はどのくらい含まれているのかご存知ですか?本記事では、炊飯前と炊飯後の玄米100gのカロリーや糖質を、白米と比較しました。さらに他の栄養素量の比較も行い、玄米が健康維持やダイエットに良いと言われる理由についても解説しています。併せてダイエット中の玄米の取り入れ方や注意点、玄米ご飯に合うおすすめの組み合わせなどもご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
玄米100gのカロリー・糖質を白米と比較
炊飯前と炊飯後において、玄米と白米それぞれ100gあたりのカロリーと糖質を比較してみましょう。
【炊飯前】玄米100gのカロリー・糖質を白米と比較
炊飯前の玄米100gのカロリーは346kcalであるのに対し、白米は342kcalです。同様に、炊飯前の糖質を比較すると、玄米100gでは71.3gであるのに対し、白米は77.1gです。
健康に良いと言われることが多い玄米ですが、実は玄米と白米において、炊飯前のカロリーと糖質量に大きな差はありません。
【炊飯後】玄米100gのカロリー・糖質を白米と比較
炊飯後の玄米100gのカロリーは152kcalであるのに対し、白米は156kcalです。同様に、炊飯後の糖質量を比較すると、玄米100gでは34.2gであるのに対し、白米は35.6gです。
炊飯後の数値を比較しても、玄米と白米ではカロリー・糖質ともにほとんど差はないことがわかります。
茶碗1杯(150g)の玄米のカロリー・糖質を比較
炊飯後の玄米茶碗1杯(150g)分では、カロリーは228kcal、糖質は51.3gとなります。この数値を、他の主食となる食品と比較してみましょう。
1食分の白米・麺類・パンとそれぞれ比較すると?
一般的な主食のうち、玄米・白米は茶碗1杯(150g)、食パン6枚切りを2枚、ゆでうどん200g、ゆで中華麺230g、ゆでそうめん270g、ゆでスパゲティ250g、ゆでそば200gのカロリー・糖質を比較しました。これらの分量は1人前の目安として設定しているので、市販品やお店によっては差があります。
比較すると、最もカロリー・糖質ともに低いのは「ゆでうどん」で、最も高いのは「ゆでスパゲティ」であることがわかります。玄米のカロリーは2番目に低く、糖質は4番目に少ないという結果です。このことからも、カロリーと糖質の比較では特にダイエットに向いている食品とは言えません。
玄米に含まれる他の栄養素量を白米と比較
では、カロリー・糖質以外の栄養素ではどのような差があるのでしょうか。玄米に含まれる他の栄養素量を白米と比較してみましょう。
白米よりも玄米の方が栄養素が豊富
表を見るとわかるように、白米と比較して玄米はビタミンB1が5.1倍、ビタミンB6は3.7倍、食物繊維は6倍、鉄分は2.6倍、マグネシウムは4.7倍も多く含まれています。これが、玄米が「完全栄養食」とも言われている理由であり、玄米の最大の魅力です。
低カロリー・低糖質ではない玄米がダイエット向きな理由
これまでの比較を見ていくと、玄米は決して低カロリーや低糖質な食品というわけではないことがわかります。では、なぜ玄米はダイエットに向いていると言われているのでしょうか。それには、玄米に豊富な栄養素の働きや、以下の項目ような玄米の特徴が関係しています。
糖が吸収しにくくGI値が低い
ダイエットの観点から、玄米と白米の大きな違いの1つとして「GI値」があります。GI値とは、ある食品を食べたあとの血糖値の上昇度合いを表す指標です。血糖値が上昇することで分泌されるインスリンには、身体に脂肪を溜めやすくする働きがあるため、血糖値の急上昇はなるべく避けるほうが良いとされています。
そのため、GI値が低い食品を選んだり、最初に食べるなどの工夫をすることがダイエットにおいても重要です。そこで白米と玄米のGI値を比較すると、白米は88で高GI食品、玄米は55で低GI食品に分類されます。この差が、玄米が白米よりもダイエットに向いていると言われる1つの要因です。
不溶性食物繊維が豊富で腸内環境を良くする効果が期待できる
玄米には、水分を吸着することで便のかさを増やし、有害物質を一緒に排出する働きを持つ「不溶性食物繊維」が豊富に含まれています。便秘の予防や改善の効果が期待でき、腸内環境を良くしてくれることで知られています。
腸内環境が良くなると、腸は本来の力を発揮できるようになり、摂取した栄養素を効率良く消化・吸収できるようになります。必要な栄養素は身体に取り込み、不要なものは排出するということが正常に行えるようになると、痩せやすく太りにくい体質作りへと繋がります。
ビタミン類が豊富で身体の調子を整える
玄米には、ビタミン類の中でも特にビタミンB1とビタミンB6が豊富に含まれています。ビタミンB1は、糖質の代謝をサポートする働きがあり、ダイエット中には特に意識的に摂取したい栄養素の1つです。摂取した糖質が効率良く脳のエネルギーとして消費されると、余分な糖質を脂肪として身体に溜め込むのを防ぐことができます。
ビタミンB6は、たんぱく質の代謝を手助けしてくれるビタミンです。たんぱく質をアミノ酸に分解・合成するサポートをしてくれることで、筋肉が作られやすくなります。筋肉が増えると基礎代謝が向上し、カロリーを消費しやすい身体へと変化するため、ダイエットにも欠かせないビタミンの1つです。
脂質や塩分が少なく色々な食品と合わせやすい
バターや油、塩などを添加して作られるパン類や麺類と比較して、白米や玄米は脂質や塩分が少ないという点も重要です。また、シンプルな味なので色々な食品と合わせやすく、栄養バランスが整いやすいというメリットもあります。
噛みごたえがあるため満足しやすい
玄米は白米よりも固く噛みごたえがあるため、自然と咀嚼回数が増えます。すると満腹中枢が刺激され、少ない量でも満足感が得られやすくなります。また良く噛むことで腹持ちも良くなるため、ダイエットに向いている食品と言えます。
ダイエット中の玄米の上手な取り入れ方
ダイエット中の玄米の取り入れ方について、主に2つの項目について解説します。基本的な取り入れ方や考え方を理解し、上手に取り入れていきましょう。
白米を玄米に置き換える
基本的な取り入れ方は、普段食べている白米をそのまま玄米に置き換える方法です。とても簡単な方法ですが、その分主食からの栄養素の摂取量がアップするので、それだけでも十分効果的と言えます。
長期間続けていくことが基本
ダイエット中に玄米を取り入れる場合、長期間続けていくことが基本です。毎日取り入れることで、代謝の向上や便秘の解消など、太りにくく痩せやすい体質づくりに役立ちます。極端な食事制限や激しい運動と異なり即効性があるものではありませんが、続けることで身体の根本から健康的に変わることが期待できます。
玄米食を長期間続けるコツ
玄米が健康維持やダイエットに効果的であるとはいえ、玄米特有の固くパサパサとした食感や風味が苦手と感じる人もいるでしょう。無理に続けることは、ストレスを感じやすくリバウンドにもつながるので、いきなりではなく徐々に玄米に慣れていくと良いです。玄米食を始めるにあたって、無理なく長期間続けるコツをご紹介します。
白米と混ぜたり分つき米から慣れていく
まずは玄米と白米を混ぜて炊いたり、玄米と白米の中間のような「分つき米」などから始めてみましょう。特に分つき米には、3分づき米、5分づき米、7分づき米と種類があり、それぞれ玄米の精製度合いに違いがあります。数字が大きいほど精製度が高く白米に近いので、7分づき米から始めて徐々に玄米へとステップアップしていくのもおすすめです。
毎食ではなく1日1食から始めてみる
玄米食に慣れるまでは、1日1食から始めてみるのもおすすめです。徐々に置き換えていくことで、自分の体質に玄米が合っているかどうかを確認することもできます。カレーや雑炊、チャーハンなど、玄米特有の固さや風味を感じにくい食べ方や色々なアレンジに挑戦することで、少しずつ玄米に慣れていくことがコツです。
玄米食を長期間続ける上での注意点
玄米食を長期間続けるにあたり、玄米のデメリットも踏まえて注意したい点がいくつかあります。きちんと理解し、正しい方法で取り組むようにしましょう。
玄米だけでは不足しがちな栄養素もある
白米よりも栄養価が高い玄米ですが、玄米だけで健康の維持に必要な全ての栄養素が補えるわけではありません。玄米以外にも、おかずや汁物からもバランス良く栄養を摂取することが大切です。なるべく多くの食品を取り入れるには、玄米を主食とした定食スタイルや、具沢山みそ汁などがおすすめです。
玄米だからといって量を増やすのはNG
白米と比較してもわかるように、玄米はカロリー自体は白米とほぼ変わらないので、多く食べればその分カロリー過多となりダイエット効果も低下します。あくまで、自分に合った適切な量に留めるということは、玄米においても同様です。玄米だからといって、量を多く食べても良いということではありません。
白米よりも消化・吸収しにくいので良く噛んで食べる
精製されていない玄米は、白米よりも消化吸収の良さは劣ります。消化不良を起こしてしまうと便秘や下痢の原因にもなり得るので、必ず良く噛んで食べることを意識しましょう。そうすることで、噛み応えがあり満腹中枢が刺激されやすいというメリットをより活かすことにも繋がります。
玄米に合わせたいおすすめのおかずと組み合わせのコツ
栄養が豊富な玄米ですが、さらに栄養バランスを整えるために、おかずや汁物、副菜の組み合わせ方のコツをご紹介します。
肉・魚・卵・大豆でしっかりとたんぱく質を摂取する
まずは、身体の基礎を構成する「たんぱく質」をしっかりと取り入れます。玄米にもたんぱく質は含まれていますが、必要な量や質を全て補えるわけではありません。特に玄米には、身体に必要不可欠なアミノ酸の1つ「リジン」が不足しがちです。
リジンは、たんぱく質の吸収促進やブドウ糖の代謝、肝臓の機能の強化、免疫力の強化などの働きがあり、主に大豆製品に豊富に含まれます。玄米には、納豆や豆腐などを合わせるとさらに栄養バランスが整います。
また、肉や魚、卵を使った食べ応えのあるおかずで、満足感のあるメニューにするのもおすすめです。味噌やうま味のあるだしを活かした味付けは、特に玄米ご飯との相性も良いでしょう。
副菜は「赤・黃・白・緑・黒」の彩りを意識する
副菜は、5種類の色を意識した野菜やきのこ類、海藻類を中心に組み合わせます。例えば、「赤」はトマトやにんじん、「黃」はかぼちゃやとうもろこし、「白」は大根や長芋、白菜、「緑」はほうれん草や小松菜、ピーマン、「黒」は海藻類、きのこ類、ごまなどがあります。ここからそれぞれ選んで組み合わせていくと、自然と1食の栄養バランスが整いやすくなります。さらに彩りも良くなり、食卓がパッと明るく食欲のそそるメニューとなります。
具沢山のみそ汁で不足しがちな栄養素を補う
おかずの他にもう1品汁物を付けると、定食スタイルになりさらに栄養バランスの整った1食となります。特にみそ汁はどんな食材とも相性が良いので、副菜とは異なる食材をいくつか選んで使用すると良いです。発酵食品であるみそを取り入れることで、腸内環境を整える効果がさらにアップし、玄米に不足しがちなリジンを補うこともできます。玄米食には、ぜひ具沢山のみそ汁を組み合わせましょう。
まとめ
玄米は、白米や他の主食となる食品と比較しても、決してカロリーや糖質が少ないわけではないということがわかりました。それにも関わらず健康維持やダイエットに良いと言われているのには、カロリーや糖質以外の栄養素量が豊富な点や、GI値が低いこと、噛み応えがあり満足感を感じやすい点などの玄米の特徴が関係しています。
玄米食は、日常の食生活に取り入れると、それだけで栄養バランスが整いやすくなります。ただし、玄米を取り入れるときの注意点もきちんと理解し、自分のライフスタイルや体質に合った取り入れ方を行うようにしましょう。