五郎兵衛米を美味しく食べるための炊き方とは?水加減やおすすめの保管方法についてご紹介

お米

強い粘り気と噛むほどに口の中に広がる甘み、一粒一粒から風味豊かな香りが感じられる「五郎兵衛米」。最高峰となる特Aランクを取得した実績を持つ信州コシヒカリ、五郎兵衛米が手に入ったら、正しい保管方法や炊き方でその魅力を余すことなく味わいましょう。

本記事では、五郎兵衛米の魅力とともに、五郎兵衛米を美味しく食べるための炊き方やお米の品質を守る保管方法などについて解説します。


五郎兵衛米とは

稲

五郎兵衛米とは、コシヒカリの中でも長野佐久市旧浅科村の一部地域で栽培されているお米です。五郎兵衛用水という約20km続く水路の水を使っていることから、その名前が付いています。


五郎兵衛用水は、江戸時代に市川五郎兵衛真親(いちかわごろうべえさねちか)という人物が私財と生涯を投じて開拓した、歴史ある水路。この水路の水を使って作るお米が美味しいと評判になり、五郎兵衛米というお米の名が付けられました。


生産量が少ない希少性米と言われている

五郎兵衛用水を使って栽培することができる田んぼは、わずか400ヘクタールしかありません。さらに、生産者のこだわりから稲一本一本を大切にするべく疎植栽培を行っているため、田んぼにおける苗の数は通常の約7割程度に留めています。

これらの理由から、大量に生産することができない数量限定のお米となっています。その希少さ故に「幻のお米」とも呼ばれています。


高級料亭でも扱われる特Aランクのお米

五郎兵衛米は、その希少さと美味しさから高い評価を受け、多くの高級料亭でも扱われています。一般財団法人日本穀物検定協会が定める「食味ランキング」において、最高峰となる特Aランクを取得するなど、その美味しさと品質の良さは確かなものです。


五郎兵衛米の美味しさを決める特徴とは

草木

お米の味や品質は、栽培時に使用する水、土、気温、湿度、日射量など様々な要素によって左右されます。強い粘り気と噛むほどに口の中に広がる甘みが魅力の五郎兵衛米は、次のような栽培環境が基となっています。

  1. 蓼科山(たてしなやま)から湧き出た天然水
  2. 強粘土質の土壌
  3. 高い標高からなる昼夜の寒暖差
  4. 日本有数の晴天率
  5. お米の品質を守る緻密な施肥設計
  6. 疎植栽培で稲一本一本を大切に


1.蓼科山(たてしなやま)から湧き出た天然水

水田で育つお米にとって、水の清さは美味しさを決める最も重要な要素の1つです。五郎兵衛米の栽培に使用する五郎兵衛用水の水源は、蓼科山の標高約1900mから湧き出た天然水。この清らかな天然水が田んぼに贅沢に流れ込むことで、微生物の活動も活発になり土も良くなっていきます。

他のコシヒカリとの1番の違いはこの「水」であり、五郎兵衛米の魅力である香り豊かな風味は五郎兵衛新田でしか作り出すことはできません。


2.強粘土質の土壌

五郎兵衛米が栽培されている旧浅科村の特徴は、特有の強粘土質の土壌を持つことです。コンバインの寿命が半分になるほどの土の粘度で、蓼科山からのミネラルを多く含んだ天然水や肥料を保つ力が豊かで、稲はしっかりと根を伸ばしていきます。養分を余すことなく吸収するので、炊いたときに粘り気と強い甘みがあるお米となります。

また、生産者は田んぼを耕す回数にこだわりを持っています。稲の根がきちんと呼吸ができるように、通常の倍以上にあたる年に4回に渡り耕しています。そうすることで、土の中に酸素が十分に供給され、稲は上手に根張りを行うことができます。

土壌の性質を見極めて最大限に活かした栽培を行うことが、五郎兵衛米の美味しさの秘訣です。

3.高い標高からなる昼夜の寒暖差

山に囲まれ標高の高い長野県ならではの特徴は、昼夜の寒暖差が大きいことです。日中は全国トップレベルの日射量で気温がどんどん上昇していくのに対し、夕方以降太陽が山に隠れ始めると気温は一気に下降していきます。この自然が作る寒暖差によって、稲は負けじと力強く根を張り、甘みを蓄えた味わい深いお米が育つのです。

4.日本有数の晴天率

また、佐久地域の晴天率は日本有数のトップレベルを誇ります。太陽の光を存分に浴びることで、養分をたっぷりと蓄えて甘く美味しいお米に育つことは言うまでもありません。またこのような気候で育つお米は、風通しが良く稲の病気であるいもち病が発生しないのも特徴です。このことが、農薬を極限まで減らして栽培することができる理由となります。


5.お米の品質を守る緻密な施肥設計

美味しく品質の良いお米を栽培するにあたって、与える肥料は決して多いほど良いというわけではありません。肥料によって窒素が過剰に含まれてしまうと、稲は必要以上に長く成長し倒れやすくなります。倒れてしまった稲から採れるお米は、品質が著しく低下してしまい美味しさまでも失います。

そのため、緻密な施肥設計を行うことにこだわり、お米の収穫量を増やすための追肥は行いません。お米の収穫量はその年の天候に左右されるのが基本である中、どんな天候でも安定した品質と美味しさを目指すことを大切に、栽培されています。


6.疎植栽培で稲一本一本を大切に

五郎兵衛米の稲の栽培は、株と株の間を通常の約2倍間隔をあけて植える「疎植栽培」という方法で行っています。一般的には田んぼ一坪につき70株の苗を植えることができますが、五郎兵衛米では一坪に50k株しか植えないようにしています。

そうすることで、稲一本一本に栄養が日光が行き渡り、茎が太く丈夫に育ちます。風通しも良くなることで、病気にかかりにくくなることもメリットの1つです。


五郎兵衛米の炊飯器を使った美味しい炊き方

炊飯

五郎兵衛米を美味しく炊く方法をご紹介します。基本的には他のお米と同じ炊き方ですが、米粒そのものがしっかりとしていて粘り気がある五郎兵衛米は、特に「水加減」と「浸水」の2点をを抑えて炊くことでその美味しさが活かされます。

具体的な5つのポイントをご紹介します。

  1. しっかりと研いで糠を落とす
  2. 炊く前に浸水を行う
  3. 水加減は少し少なめがおすすめ
  4. 蒸らすことでふっくらと仕上がる
  5. 土鍋で炊くのもおすすめ


1.しっかりと研いで糠を落とす

まず1番初めに行う大切な手順は、お米をしっかりと研ぐことです。表面についた糠を十分に取り除けるかどうかで、炊いたときの雑味の有無を左右します。

最初はたっぷりの水ですすぎます。お米は1番初めに触れた水を良く吸収するため、汚れの浮いた水を吸収してしまわないように、手早く行うのがコツです。このとき、ミネラルウォーターを使用するとより良いです。

そのあとは、少量の水に浸して手のひらで押すようにして研ぎます。これを水を取り替えながら数回行います。


2.炊く前に浸水を行う

水の濁りがなくなるまで研いだら、炊く米に必ず浸水を行います。この工程により、お米の中心までしっかりと水が浸透し、ふっくらとした炊きあがりになります。最低でも30分、冬の寒い時期は1時間程度浸水するようにしましょう。

注意点として、浸水を長時間行うことは避けるようにします。お米は含むことができる水の量に限りがあるため、長い時間浸け過ぎるとでんぷんが流失してしまいます。炊きあがりのベタつきの原因にもなるため、最長で90分までを目安としましょう。

気温が高い夏場などは、冷蔵庫に入れておくと安心です。


3.水加減は少し少なめがおすすめ

五郎兵衛米を美味しく炊くには、水加減は気持ち少なめにするのがおすすめです。米粒そのものに粘りがあるため、水分量を調節することでふっくらと仕上がります。自分の好みの硬さや水分量を見つけてみてください。


4.蒸らすことでふっくらと仕上がる

炊きあがったご飯は、すぐに蓋をあけるのではなく蒸らし時間を設けることも大切な工程です。炊飯器によっては蒸らしの工程が含まれていることもあるので、取り扱い説明書などで確認しましょう。

炊きあがった直後のご飯と蒸らしたあとのご飯では、ふっくら加減と見た目が違います。蒸らすことでお釜の中の温度が均一になり、米粒内の水分量も均等になります。見た目はツヤが増し、蒸気をたっぷりと吸い込んだお米はふっくらと仕上がります。


5.土鍋で炊くのもおすすめ

土鍋で炊いたご飯が美味しくなる理由は、熱伝導率の低さです。金属製の鍋と比較して温度の上昇が緩やかであるため、お米の甘みを引き立ててくれます。また、土鍋は一度温まると熱が冷めにくいという特徴もあります。沸騰してからの温度が保たれやすいことや、蒸らし時間も一定の温度を保てることなどによって米粒の芯まで火が通りふっくらとした仕上がりになります。

五郎兵衛米の美味しさを十分に引き立たせるには、少し手間をかけて土鍋で炊くのもおすすめです。


五郎兵衛米を美味しく食べるための保存方法

保存

お米を美味しく食べるために重要なのは、お米にとって最適な正しい方法で保管をすることです。五郎兵衛米の美味しさを存分に味わうために、購入したらすぐに以下の項目に注意して保管をするようにしましょう。

  1. 暗所で湿度の低い場所に保管する
  2. 密閉容器に入れて保管する
  3. 長期保存なら真空パックがおすすめ


また適切に保存しても、お米は精米したそのときから酸素や湿気を吸い、劣化が始まってしまいます。正しい方法で保管した場合でも、購入後から1ヶ月以内で食べ切るのがおすすめです。


1.暗所で湿度の低い場所に保管する

お米は湿気や水気に弱いので、直射日光の当たらない暗所でかつ湿気の低い場所での保管が適切です。また、お米の保存に最適な気温は15度前後なので、家庭において最も適しているのは冷蔵庫です。さらに、湿度と気温が安定している野菜室がベストといえるでしょう。

キッチンのシンクの下や床下などは湿気が多く風通しも悪くなりがちなので、なるべく避けた方が良いでしょう。また、電子レンジの近くや冷蔵庫の近くなどの温度が上がりやすく不安定な場所も向いていません。約30度以上の高温になる場所には、決して置かないようにします。


2.密閉容器に入れて保管する

お米の劣化を防ぐためには、密閉性の高い容器に移し替えます。購入時の米袋は、通気のために小さな穴が空いているため、空気が入り込み酸化しやすくなります。また、お米は近くにあるものの匂いが移りやすいため、購入後はなるべく早く密閉容器に入れて保管することが大切です。

密閉容器は、お米の保存用に売られているものもありますが、身近なもので代用することも可能です。チャック付き保存袋や、ペットボトルなどを使うのも良いでしょう。その際使用するペットボトルは、コーヒーや野菜ジュースなどが入っていた匂いが残りやすいものは避け、水が入っていたものを使用します。中を良く洗って完全に乾燥させてからお米を入れるようにしましょう。


3.長期保存なら真空パックがおすすめ

災害用の備蓄など保存期間が長い場合は、しっかりと脱気した真空パックされている商品を選ぶのがおすすめです。お米は空気に触れにくい環境であるほど酸化がしにくくなるので、外気を遮断した真空パックの方がより長持ちします。常温で約1年、冷蔵庫では約2年間の長期保存が可能になります。


五郎兵衛米はそのままを味わうのがおすすめ

ご飯

五郎兵衛米は、そのままご飯だけで食べても十分その美味しさを堪能することができます。米粒自体の味が感じられるような、なるべくシンプルな食べ方がおすすめです。


佃煮や野沢菜漬けなどご飯のお供を合わせる

強い粘り気と甘みが魅力の五郎兵衛米は、塩気のあるおかずととても良く合います。佃煮や野沢菜漬け、梅干しなど、いわゆるご飯のお供とも相性は抜群です。


五郎兵衛米は冷めても美味しい

炊きたてが1番美味しいのはもちろん、五郎兵衛米は冷めても美味しいというのも魅力の1つです。おにぎりやお弁当に入れても美味しく食べることができるため、日常の様々なシチュエーションでその美味しさを感じることができます。


まとめ

お米

五郎兵衛米は、長野県佐久市旧浅科村の一部地域で栽培されているお米です。多くの高級料亭でも扱われる五郎兵衛米は、先人の努力と自然の恵み、生産者の想いが作り出すまさに「幻のお米」です。

強い粘り気と噛むほどに口の中に広がる甘み、風味豊かな香りが魅力の五郎兵衛米を購入したら、その美味しさをぜひ余すことなく味わってください。お米は購入した直後から劣化が始まる繊細な産物です。野菜室や冷暗所、密閉容器などいくつかのポイントを抑えた正しい方法で保管しましょう。品質が維持されたお米は、水加減や浸水時間を意識した炊き方で炊くとより美味しく仕上がります。ぜひ試してみてください。

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