玄米といえば「栄養が豊富な食材」として健康や美容意識が高い人から人気の食材です。しかし、独特の食感や風味に苦手意識を持つ人も少なくないようです。本記事では、玄米の持つ魅力や期待できる効果と併せて、玄米を美味しく炊くためのポイントやコツ、美味しく食べるためのおすすめの食べ方などをご紹介します。
玄米と白米の違いは?
玄米を取り入れるには、まず玄米とはどのようなお米であるかを良く知っておきましょう。玄米と白米を比較しながら、どのような違いがあるのか解説します。
精製度合いが異なる
玄米と白米は、お米の精製度合いが異なります。玄米は稲の実からもみ殻のみを取り除いた状態のお米で、そこからさらに精米することでぬかや胚芽が取り除かれ、白米となります。ぬかや胚芽の部分は雑味の原因にもなるため、美味しく食べるために精米が行われるようになったと言われています。
含まれている栄養素と量が違う
ぬかや胚芽の部分には、様々な栄養素が豊富に含まれています。そのため玄米は白米よりも栄養価が高く、特にビタミンB群、マグネシウムや鉄分などのミネラル、食物繊維などが多く含まれています。普段食べている白米を玄米に変えるだけで、より栄養バランスの整った食事になります。
糖質の吸収スピードが異なる
白米は食べたあと一気に糖質が吸収されるのに対し、玄米はゆっくりと吸収されます。糖質の吸収スピードが遅いほど、身体は満腹感を感じることができるため、食欲のコントロールがしやすくなります。
風味や食感が違う
白米はふんわりと炊き上がり、甘みがあります。一方玄米は、米粒が固くパサパサとした食感で、良く噛んで食べる必要があります。これは玄米の表面にあるロウ層によるもので、この独特の食感が苦手と感じる人も多いようです。
栄養が豊富なぬかや胚芽部分は残し、固いロウ層のみを取り除いた「ロウカット玄米」という種類の玄米もあります。白米と通常の玄米の良いところを活かしたお米です。
玄米の魅力とは
健康や美容意識が高い人に人気がある玄米は、それほどの魅力があります。主な魅力として、下記が挙げられます。
- 完全栄養食とも言われる豊富な栄養素
- 噛みごたえがあり腹持ちが良い
- 糖質の吸収が緩やかで血糖値が急上昇しにくい
- 健康だけでなく美容効果も期待できる
それぞれについて、詳細を確認していきましょう。
1.完全栄養食とも言われる豊富な栄養素
玄米の1番の魅力は「完全栄養食」とも言われる程の高い栄養価です。炊飯前の白米と玄米の栄養素量を比べると、ビタミンB1は約5.1倍、ビタミンB6は約3.7倍、鉄分は約2.6倍、マグネシウムは4.7倍、食物繊維は6倍、玄米の方が豊富です。
栄養バランスが整った食事をするには、様々な種類の食材をバランス良く摂取することが必要ですが、主食を白米から玄米に変えるだけでこれだけ栄養価がアップするという手軽さが玄米の魅力です。
2.噛みごたえがあり腹持ちが良い
玄米は良く噛んで食べる必要があるため、自然と咀嚼回数が増えます。すると満足感が得られやすくさらに腹持ちも良くなるため、食べる量が減ったり間食が減ったりするなどの効果も期待できます。
3.糖質の吸収が緩やかで血糖値が急上昇しにくい
糖質を摂取することで身体の血糖値が上昇しますが、ある食品を食べたあとの血糖値の上昇度合いを表す指標に「GI値」というものがあります。このGI値は高・中・低の3つに分類されていて、白米は「高GI食品」、玄米は「低GI食品」に該当します。これは、白米は食べたあとの血糖値の上昇度合いが比較的大きく、玄米は比較的小さいことを示します。
血糖値の急上昇は、肥満や生活習慣病の要因ともなり得ます。健康維持やダイエットにおいて、白米よりも玄米の方が効果的と言えます。
4.健康だけでなく美容効果も期待できる
豊富な食物繊維により腸内環境が良くなることで、身体に老廃物が溜まりにくくなり、美肌や美髪効果も期待できます。さらにビタミンB群も豊富なので、肌のターンオーバー周期を整え皮膚や粘膜を正常に保ってくれます。
玄米食を続けるメリットとは
これほどのたくさんの魅力を持つ玄米は、玄米食として日常の食事に取り入れることでより魅力を発揮できるようになります。そんな玄米食を続けていくことのメリットには、以下が挙げられます。
- 不足しがちな食物繊維を補うことができる
- ビタミン・ミネラルが気軽に補給できる
- 便秘の予防や改善が期待できる
- 痩せやすい身体作りに役立つ
- 身体の内側から健康な肌へと導いてくれる
それぞれの詳細を確認していきましょう。
1.不足しがちな食物繊維を補うことができる
食物繊維は、豆類、野菜類、きのこ類、果物類、イモ類、種実類などの植物性食品に多く含まれています。しかし、食の欧米化で肉や乳製品の摂取が増え、現代人の食生活において食物繊維は不足しがちと言われています。色々な食材を満遍なく取り入れることはハードルが高いと感じてしまいがちですが、主食を玄米に変えるだけで食物繊維の摂取量を増やすことができます。
2.ビタミン・ミネラルが手軽に補給できる
ビタミンやミネラルは、身体の代謝や機能を高める上でとても重要な栄養素です。しかし、食物繊維と同様に、ビタミンやミネラルも不足しがちな栄養素でもあります。そこで、玄米食を続けることで不足分を少しでも補うことができ、手軽に栄養バランスが整いやすくなります。
3.便秘の予防や改善が期待できる
玄米に豊富に含まれる食物繊維には、水分を吸着して便のかさを増やし、排便を促す効果などが期待できます。腸内環境が良くなることは、身体の代謝や機能を高めることにも繋がり、免疫力の向上など様々な効果をもたらしてくれます。
4.痩せやすい身体作りに役立つ
低GI食品であることや、腹持ちが良いこと、便秘の予防や改善効果が期待できることなどの複数の効果により、太りにくく痩せやすい身体作りに役立ちます。極端な食事制限や偏りなどの無理なダイエットを行うよりも、栄養バランスの整った食事を摂る方が体質の根本から変えることができます。
5.身体の内側から健康な肌へと導いてくれる
肌荒れ知らずな健康な肌を手に入れるには、身体の内側から整える意識を持つことが大切です。玄米には美肌へと導いてくれる栄養素が豊富なので、続けていくことでより効果が実感しやすくなります。
玄米食のデメリットとは
高い栄養価や身体にとって多くのメリットがある一方、デメリットもあります。
- 農薬が残りやすい
- 栄養素の吸収を阻害する可能性がある
- 胃腸が弱い人や元から酷い便秘体質の人は注意
主な項目と、デメリット解消のポイントも併せてご紹介します。
1.農薬が残りやすい
お米のぬかや胚芽の部分に農薬が溜まりやすいため、精製された白米よりも農薬が残留しやすくなります。玄米を選ぶときは、有機JASマークがついていて、かつ無農薬のものを選ぶようにしましょう。
2.栄養素の吸収を阻害する可能性がある
玄米に含まれているフィチン酸には、抗ガン作用が期待できる一方、カルシウムやリンなどの栄養素の吸収を阻害してしまいます。玄米を食べるときは、なるべく海藻類や野菜類、果物などを一緒に摂ることを心がけることで、より栄養バランスが整いやすくなります。
3.胃腸が弱い人や元から酷い便秘体質の人は注意
玄米は精製度合いが低いことで、白米のよりも消化・吸収の良さは劣ります。十分に浸水させてから炊くことと、良く噛んで食べることを意識する必要があります。胃腸が弱い人や、生まれつき頑固な便秘体質の人などは、体質に合わない可能性もあるので注意が必要です。
玄米と白米を混ぜて炊くか、精製度合いが選べる「分つき米」などから試してみるのもおすすめです。
玄米の美味しい炊き方とコツ
固くパサパサとした独特の食感が苦手とされることの多い玄米ですが、いくつかのポイントやコツをおさえることで美味しく炊くことができます。
- 玄米を計量するときは白米と同じ計量カップでOK
- 表面に傷をつけるように洗う
- 浸水は十分に行う
- 炊く時の水加減は重要なポイント
- 塩を加えて炊くとぬかの臭みが抜けやすい
- 炊き上がった玄米は長時間保温すると硬くなる
それぞれの詳細について、以下で確認していきましょう。
1.玄米を計量するときは白米と同じ計量カップでOK
炊飯器で炊く場合、玄米を計量するときは白米と同じ計量カップで1合、2合と計ります。なるべく誤差が出ないように、すりきり1杯でいつもより丁寧に計量します。圧力鍋など水加減の目盛りがないもので炊く場合は、玄米の重量をしっかり計量するようにしましょう。後に水加減を調節するときにも重要です。
2.表面に傷をつけるように洗う
玄米を洗うときは、基本的に強く研がずにほこりや表面の汚れを取り除く程度で良いです。さらにお米を両手でこすり合わせて、表面に傷をつけるような感覚で洗うと、よりお米の中心部まで水が浸透しやすくなります。
また、水で洗うときは1、2回目の水はすぐに捨てて、新しい水に変えるようにしましょう。1番最初に触れた水を最も吸収しやすいので、なるべく汚れの付いた水を吸収してしまわないようにするためです。
3.浸水は十分に行う
玄米を美味しく炊く上で最も重要なポイントは、十分な浸水時間を取ることです。夏は8時間、冬は12時間の浸水時間が理想で、少なくとも5〜6時間は十分に浸水するようにしましょう。そうすることで中心部まで水分が吸収され、美味しく炊き上がります。また夏場は気温が高いため、浸水している間は冷蔵庫での保存がおすすめです。
4.炊く時の水加減は重要なポイント
浸水していたときの水は捨てて、新しい水を加えて炊きます。玄米モードがある炊飯器で炊く場合、水加減は該当する目盛りまで入れましょう。玄米を炊くときの水分量は、玄米の1.5倍が目安です。
5.塩を加えて炊くとぬかの臭みが抜けやすい
玄米1合あたりひとつまみ程度の塩を加えて炊くと、米粒への水の吸収を促してくれます。また、玄米に含まれるカリウムにより苦味を中和し、美味しさを引き出す効果があります。塩を入れるタイミングは、浸水するときの水を入れたあとです。塩が入った状態の水で浸水するようにしましょう。
6.炊き上がった玄米は長時間保温すると硬くなる
炊き上がった玄米を炊飯器の保温モードで長時間保存すると、水分が抜けていき固い食感になってしまいます。炊き上がったらなるべく早く食べるか、保存する場合は1食分ずつラップで包み、冷凍庫での保存がおすすめです。
玄米が美味しくないときにチェックすべきポイント
自分で炊いた玄米を食べてみてあまり美味しくないと感じたときは、次の項目をチェックしてみましょう。
- 水加減は適切かどうか
- 炊くときの水の温度
- 浸水時間が短すぎていないか
玄米が苦手な人も、ポイントを踏まえた上でもう一度挑戦してみるのも良いかもしれません。
1.水加減は適切かどうか
玄米の仕上がりには、水加減がとても重要です。炊飯器の玄米の目盛りに合わせるか、玄米の約1.5倍の水の量を目安とします。何度か微調整を繰り返しながら、自分の好みの水加減を見つけてみるのも良いでしょう。
2. 炊くときの水の温度
玄米は冷水で炊くと甘みが増します。浸水していたときの水は捨てて新しい水に変えてから炊きますが、そのときに冷水を使用するのもおすすめです。また、水道水のカルキ臭が気になる場合は、浄水器を通した水やミネラルウォーターを使用してみましょう。ミネラルウォーターは、水の吸収を阻害してしまうカルシウムが多く含まれる硬水はなるべく避けて、軟水を選ぶとより良いです。
3.浸水時間が短すぎていないか
十分な浸水時間が取れていないと、より固い食感に仕上がってしまいます。特に夏場など冷蔵庫で浸水させる場合、より長い時間が必要になるので注意が必要です。
玄米モードがある炊飯器で炊く場合、炊飯器自体に吸水のための時間が含まれていることもあるので、取扱説明書などで確認しておくのも良いでしょう。
玄米の美味しい食べ方
玄米は基本的に白米と同じ食べ方で美味しく食べられます。固さやパサパサとした食感、特有の風味などが気になる場合の、おすすめの美味しい食べ方をご紹介します。
特有の食感を活かした「玄米チャーハン」
チャーハンは、ベチャベチャとした軟らかい食感よりも、お米の粒がパラパラとした仕上がりの方が美味しいとされています。油でコーティングされ、より風味良く玄米特有の食感が活かされる食べ方です。色々な味付けや食材の組み合わせが楽しめるのも魅力です。
玄米が苦手でも食べやすい「玄米カレー」
カレーと合わせることで、玄米が苦手な人でも食べやすくなります。さらにカレーに色々な種類の野菜やお肉などを使用することで、1皿で栄養バランスも整いやすくなります。カレーも味付けや辛さなどのアレンジが自在なので、飽きずに玄米を続けられます。
消化・吸収しやすくするには「玄米粥」「玄米雑炊」
玄米は、白米に比べて消化・吸収しにくい点がデメリットです。そのデメリットを補うには、玄米粥や玄米雑炊にして食べるのがおすすめです。さらに水分を加えて調理するため、玄米が柔らかくなり食べやすくなります。
まとめ
玄米は、白米と比べても高い栄養価を誇る食品です。もちろん玄米だけで全ての栄養素が摂取できるわけではありませんが、白米を玄米に変えるだけという、分かりやすい方法で食生活の見直しや改善が行えるのは大きな魅力ですね。
玄米が苦手と感じる人は、ご紹介した美味しく炊くコツやポイント、さらにおすすめの美味しい食べ方などもぜひ参考にしてみてくださいね。