「ロウカット玄米」とは?通常の玄米・白米との違いを元にその魅力を徹底解説

玄米

「完全栄養食」とも言われる玄米は、健康維持やダイエットを考える上でとても優秀な食材です。しかし、特有の食感や風味に抵抗や苦手意識を持つ人も多いのではないでしょうか?

本記事でご紹介する「ロウカット玄米」とは、そんな人におすすめの、玄米に負けず劣らず優秀なお米です。通常の玄米や白米との違いを解説しつつ、ロウカット玄米の魅力について解説します。

ロウカット玄米とは?

玄米

ロウカット玄米とは、玄米の表面にある「ロウ層」をカットした玄米のことです。稲の実である玄米は、生育条件が整うまでは吸水して発芽することがないように、硬くて防水性の高い「ロウ層」という層で覆われています。この「ロウ層」があることで起こる、玄米のデメリットを解消するために生まれたのが「ロウカット玄米」です。

そもそも「玄米」とは、稲の実からもみ殻のみを取り除いた状態で、精米することでさらにぬかや胚芽が取り除かれ「白米」になります。このときにロウ層も一緒に取り除かれるため、白米にはロウ層はありません。「ロウカット玄米」は、玄米からぬかや胚芽はそのまま残しつつ、ロウ層だけを取り除いた状態のお米です。

 

ロウカット玄米の特徴とは

玄米

ロウカット玄米は、通常の玄米と白米の両方の良さが活かされています。通常の玄米の高い栄養価を維持しつつ、白米のふっくらと柔らかい食感を楽しむことができるため、玄米の持つ健康効果をより手軽に取り入れることができます。

そんなロウカット玄米の特徴を、より詳しく解説します。

柔らかく炊き上がり食べやすい

玄米の硬い食感の原因となるロウ層を取り除いているため、炊き上がりは白米のようなふっくらとした食感に仕上がります。玄米特有の硬い食感やパサパサ感が苦手な人でも、美味しく食べることができます。

 

長時間浸水させる必要がない

通常の玄米では、理想の浸水時間が夏は8時間以上、冬は12時間以上と長く必要であるのに対し、ロウカット玄米では約1時間と大幅に短縮することができます。

食べたいときにすぐ炊飯することができないという玄米のデメリットを解消し、さらに炊飯器の白米機能で炊飯することができるため、より手軽に玄米を楽しむことができます。

 

消化が良くなる

ロウカット玄米は、玄米のデメリットである消化・吸収が悪いという点が解消されます。高い栄養価をそのまま効率よく消化・吸収できるという点は、ロウカット玄米の大きな魅力の1つです。

 

玄米が身体に良いと言われる理由

腹部

そもそも、なぜ玄米は身体に良いと言われているのでしょうか。それには、玄米に豊富に含まれるいくつかの栄養素が関係しています。玄米と白米に含まれる栄養素量を比較しながら、その栄養素が持つ働きについてみていきましょう。

 

1.食物繊維が豊富で腸内環境の改善に役立つ

玄米には、食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維は、食後の血糖値の急上昇を防いだり、コレステロール値を低下させたりする効果が期待できる「水溶性」と、水分を吸着することで便の容積を増やし、腸のぜん動運動を活発にする効果が期待できる「不溶性」の2種類に分けられます。

玄米にはこの両方の食物繊維が含まれていますが、特に「不溶性食物繊維」が豊富に含まれています。このことで、良い腸内環境づくりをサポートしてくれます。

 

2.ビタミン・ミネラルが豊富で様々な代謝をサポート

玄米には、ビタミンB1、ビタミンB6、マグネシウム、鉄分など、身体の様々な代謝に関わるビタミン類やミネラルも豊富に含まれています。

ビタミンB1には、糖質がエネルギーに変換される時にサポートする働きがあります。不足することでエネルギーが作り出せず、だるさや疲れを感じるようになります。

ビタミンB6は、体内でアミノ酸の働きをサポートします。他にも、免疫機能を正常に働かせる役割や、皮膚の抵抗力の維持、酸素を運ぶヘモグロビンを合成するなどの役割も持ちます。不足すると、皮膚炎や口内炎、免疫機能の低下などの症状を引き起こします。

マグネシウムは、カルシウムやリンとともに歯や骨を形成したり、身体の様々な代謝をサポートしたりします。不足すると、骨粗鬆症や虚血性心疾患、高血圧や、神経過敏、抑うつなどを引き起こします。

鉄分は、赤血球中のヘモグロビンの構成成分となり、全身に酸素を運びます。鉄分が不足すると、酸素が十分に供給されない状態となるため、鉄欠乏貧血を起こしやすくなります。不足すると、集中力の低下、頭痛、食欲不振、疲労感などの症状が現れます。

このように、玄米には人体に欠かせない様々なビタミンやミネラルが豊富に含まれていて、表のように白米と比較しても何倍もの量になります。そのため、それらが不足することで陥る疾病や症状を防ぐことが期待できます。

 

3.白米よりも糖質の吸収が穏やか

玄米は、白米の約6倍もの食物繊維が含まれていることで、糖質の吸収を穏やかにして食後血糖値の急上昇を抑制する効果が期待できます。

血糖値の急上昇が良くない理由は、血糖値を下げるために分泌されるインスリンというホルモンが関係しています。インスリンには、糖質が中性脂肪へと合成されやすくする働きもあるため、太りやすい状態に陥ってしまいます。

そうならないためには、血糖値の急上昇をなるべく防ぎ、緩やかにすることが大切です。食物繊維には、血糖値の急上昇を防ぐ働きがあるため、豊富に含まれている玄米は健康やダイエットに向いていると言われているのです。

 

4.免疫力をアップさせる効果が期待できる

玄米に豊富に含まれるビタミンB1やビタミンB6、ミネラルには、身体の様々な代謝や機能をサポートする働きがあります。それにより身体の免疫力が向上し、菌やウイルスに負けない身体づくりに役立ちます。

また玄米には、整腸作用のある食物繊維が豊富に含まれています。腸には免疫に関わる細胞の6割以上が存在するため、腸内環境を整えることが免疫力アップにつながると言われています。

5.美肌などの美容効果が期待できる

腸内環境が整い便通が良くなることで、腸は本来の持つ働きを最大限に活かすことができるようになります。すると、ニキビや吹き出物などの発生を防ぎ、肌荒れしにくい体質へと変化します。

また、腸内環境が整うことで代謝も良くなります。シミやくすみの原因にもなる肌のターンオーバーの乱れが改善し、みずみずしくハリのある美肌へと近づくことが期待できます。

ロウカット玄米と通常の玄米・白米との違いとは

白米

ロウカット玄米は、通常の玄米や白米とはどのような違いがあるのでしょうか。含まれる栄養素やカロリー、糖質量、食べやすさなどについて項目別に詳しく解説します。

栄養価が優秀なのは「玄米」

栄養価が最も優秀なのは、通常の玄米です。精米する過程で取り除かれるぬかや胚芽に栄養素が豊富に含まれているため、白米は栄養価が劣ります。ロウカット玄米は、ぬかや胚芽はそのまま残っているためほとんど同等の栄養価ですが、わずかに通常の玄米より劣ります。

 

カロリーはほとんど差がない

お米自体のカロリーは、ロウカット玄米、通常の玄米、白米で大きな差はありません。しかし、通常の玄米は硬くて噛み応えがあるため、噛む回数が増え少ない量でも満腹感が得られやすくなります。

 

糖質量が少ないのは「玄米・ロウカット玄米」

糖質量が少ないのは、通常の玄米とロウカット玄米です。白米と比較してそれほど大きな差があるわけではありませんが、白米には最も多くの糖質が含まれています。

食べやすいのは「白米」

精米によってぬかや胚芽、ロウ層が取り除かれているため、柔らかく炊き上がり最も食べやすいのは白米です。とはいえ、ロウカット玄米も白米に近い食感に炊き上がるため、通常の玄米の硬い食感やパサパサ感が苦手な方でも美味しく食べることができます。

 

短時間で手軽に作りやすいのは「白米」

通常の玄米は長い時間の浸水が必要なため、炊くときに手間がかかります。ロウカット玄米は通常の玄米と比較すると大幅に浸水時間が短縮できますが、やはり最も手軽に炊けるのは白米になります。

食べやすさと栄養価のバランスが良いのは「ロウカット玄米」

上記の項目を踏まえ、食べやすさと栄養価のバランスが最も良いのはロウカット玄米と言えるでしょう。通常の玄米の高い栄養価をほぼ維持しつつ、白米のような美味しさや手軽さを兼ね備えています。

ロウカット玄米を食べるメリットとは

玄米食

通常の玄米や白米ではなく、ロウカット玄米を食べるメリットはどのようなことがあるのでしょうか。主に挙げられる2つのメリットについて、詳細を確認していきましょう。

1.抵抗感が少なく食べやすい

ロウカット玄米は、通常の玄米の食感や味に抵抗がある人でも食べやすいことが特徴です。食感や風味は通常の玄米よりも白米に近いため、普段白米を食べている人でも抵抗感が少なく食べることができます。そのため、これから玄米食を始めたいけど苦手意識のある方におすすめです。

 

2.通常の玄米よりも栄養の吸収率が高い

通常の玄米のデメリットである消化・吸収が悪いという点が解消されているため、ロウカット玄米が持つ栄養素をそのまま効率よく身体に取り入れることができます。通常の玄米を食べるとかえって便秘になってしまう人や体質に合わないという人でも、ロウカット玄米なら体質によって相性が左右されにくいというメリットとなります。

ロウカット玄米のデメリットとは

注意

味や食感の抵抗感が少なく手軽に取り入れやすいロウカット玄米ですが、デメリットもあります。そんなロウカット玄米を効果的に取り入れるためにも、次の2つのデメリットの詳細について確認しておきましょう。

特殊な製法であるため割高

ロウカット玄米は、玄米の表面にあるロウ層のみを取り除くという特殊な技術や製法により作られています。そのため、通常の玄米や白米と比べると割高なものが多くなります。

栄養価や食べやすさ、手軽さなどのメリットと天秤にかけて、自分に合うかどうかを検討する必要があります。

 

通常の玄米よりも栄養価はやや劣る

通常の玄米と比較すると、ロウカット玄米の栄養価はわずかに劣ります。しかしメリットでもあるように、消化・吸収は通常の玄米よりも優れているので、そういった意味では、お米自体の栄養価がわずかに劣ることはデメリットと捉える必要はありません。

 

ロウカット玄米を炊飯器でおいしく炊くためのポイント

ロウカット玄米

ロウカット玄米を炊飯器で炊くときは、基本的に白米を炊くときと同じという考えで良いです。ロウカット玄米を計量し、水で軽く洗ったら水を加え、浸水し、スイッチを押すという流れですが、その中でより美味しく炊くためにおさえたいポイントをいくつかご紹介します。

 

水加減は白米よりも多めに

白米と同じように炊きますが、ポイントは白米よりも水加減は多めにすることです。炊飯器についている目盛りは使わずに、計量カップ1杯分のロウカット玄米に対し、同じ計量カップで1.5杯〜2杯分の水をいれるようにしましょう。この少しのコツを覚えておくと、より美味しく炊き上げることができます。

 

浸水時間は最低1時間程度

白米を炊くときでも、浸水をしっかりした方がお米の中心にまで水分が行き渡り、よりふっくらと美味しく炊き上がります。ロウカット玄米も同じと考え、最低でも1時間程度は浸水時間を取るようにしましょう。

 

硬く仕上がってしまったときのおすすめの食べ方

万が一硬く炊き上がってしまったときは、カレーやチャーハンなどにすると硬い食感を感じにくくなります。またリゾットや雑炊なども、さらに水分を追加することができるためおすすめの食べ方です。

ロウカット玄米のおすすめの食べ方

ロウカット玄米

ロウカット玄米は食感の味も白米とほとんど変わりがないため、基本的に白米と同じような食べ方で良いでしょう。白米のように様々な食材や料理と相性が良く、食べ方も自由自在です。

しかし、通常の玄米とほとんど同等の栄養があるとはいえ、ロウカット玄米だけで全ての栄養素が摂取できるわけではありません。ロウカット玄米だけでは不足しがちな栄養素を、他の食材から摂取するようにしましょう。そのためのおすすめの食べ方をご紹介します。

定食スタイルでバランス良く

やはり最も栄養バランスが整いやすいのは定食スタイルです。主菜や副菜、汁物と品数が増えるほど使用する食材も多くなります。一汁三菜と言われる和食の献立形式を意識して、様々な食材をバランスよく取り入れるようにしましょう。

 

具だくさん味噌汁で手軽に栄養価アップ

定食スタイルのように、品数を多く用意するのはなかなか大変かもしれません。そんなときは、具だくさんの味噌汁を組み合わせることもおすすめです。ロウカット玄米を主食にし、野菜や海草類をたくさん入れた味噌汁を合わせてみましょう。さらに豚肉を加えて豚汁にしたり、卵を加えてかきたま汁にすると、たんぱく質も摂取することができます。

定食スタイルよりも作る時間が短く簡単なので、時間がないときや料理初心者にもおすすめです。

 

冷めても美味しくおにぎりにもOK

ロウカット玄米は冷めても美味しく食べられるので、おにぎりにも向いています。朝握ってお昼ごはんに食べれば、自宅にいなくてもロウカット玄米を食べることができるので、続けやすいのも魅力です。白米で作るおにぎりと同じように、お好みの具材や味付けで楽しんでみてください。

白米とのミックスでより食べやすく

普通の玄米よりも食べやすくなっているとはいえ、やはり玄米には抵抗があるという場合もあるかもしれません。そんなときは、一気にロウカット玄米にするのではなく、白米と混ぜて炊いてみるのもおすすめです。

 そうすることで、より食べやすく、玄米の栄養素も摂取することができます。また、ロウカット玄米の欠点でもある割高な面もカバーすることができます。

 

まとめ

ロウカット玄米

ロウカット玄米は、通常の玄米と白米の両方の良いところを活かしたお米です。通常の玄米の高い栄養価に魅力を感じつつも、独特の食感や風味、炊くときの手間に抵抗を感じている人は、ロウカット玄米を試してみるのもおすすめです。

ご紹介した、ロウカット玄米を美味しく炊くためのポイントやおすすめの食べ方なども、ぜひ参考にしてください。

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