玄米のGI値はなぜ低い?白米との比較と低GI食品を選ぶメリット

玄米

同じお米でも、白米よりも玄米の方がダイエットや健康維持において効果的が期待できると言われています。実は、それには玄米が「低GI食品」であることが関係しています。

本記事では、肥満や糖尿病予防においても重要な「GI値」とは一体どんな指標であるかについてと、管理栄養士の私が「白米よりも玄米をおすすめしたい理由」を併せて解説します。

 

玄米は低GI食品のためダイエットにも効果的

ダイエットに向いていると言われる玄米が「低GI食品」であることに対して、白米は「高GI食品」に分類されています。白米と玄米は、その精製度の違いから栄養価やGI値に大きな差があるのです。

太りにくい体づくりや健康を考える上で、GI値はとても重要な指標であり、まずGI値について理解することがダイエット成功への近道となります。

 

GI値とは血糖値の上昇度合いを表す指標

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GIとは、グリセミック・インデックス(Glycemic Index)の略称で、GI値は「ある食品を摂取した後に血糖値がどのくらい上昇するか」を示した数値です。つまり、GI値が高い食品を食べるほど血糖値が急上昇し、反対にGI値が低い食品を食べると血糖値の上昇は緩やか、ということになります。

この「GI値」が注目されるようになったのは、1980年代に食品によって血糖値の上昇度合いに差があることが発見されて以降のことです。人体の健康維持に役立つ食品を見分ける1つの指標として、GI値が使われるようになりました。

 

急激な血糖値の上昇が招くこととは?

そもそも、血糖値が急上昇することは、人体の健康維持に対して一体どんな影響をもたらすのでしょうか。それは、血糖値が上昇したときに分泌される「インスリン」というホルモンが関係しています。

血糖値が上昇すると、人体は血糖値を再び正常値に戻そうと働き出します。インスリンには血糖値を下げる働きがありますが、血糖値が急上昇してしまうと、このインスリンの働きが追いつかなくなります。すると、食後しばらく経っても血糖値が下がらず、高血糖の状態が続くようになってしまうのです。これが慢性的になると、「糖尿病」と診断されます。

また、インスリンには他にも、脂肪を作ったり脂肪の分解を抑制したりする働きもあります。つまり、血糖値が急上昇するほどインスリンの分泌は増え、この状態が続くことで「肥満」の原因にもなり得るのです。

こういった状態を予防するためにも、血糖値上昇の度合いを表すGI値は、効果的な指標の1つと言えます。

 

GI値は低・中・高の3つに分類される

GI値

GI値は、その数値ごとに低・中・高の3つに分類されています。食品のGI値がこの3つの分類のうちどれに当てはまるかを見ると、血糖値の上昇度合いが簡単に分かるようになっています。

 

白米より玄米のGI値が低い理由とは

GI値

上記の表を参考に、白米と玄米をGI値で比較すると、白米は88で高GI食品であり、玄米は55で低GI食品であることが分かります。同じお米であってもGI値に差が出るのには、白米と玄米の「精製の度合い」とそれによる「栄養素量の差」が関係しています。

 

含まれる食物繊維の量が低いカギ

そもそも白米とは、玄米を精米したお米のことで、玄米から糠(ぬか)や胚芽を取り除いたものです。それに対して玄米とは、稲の実からもみ殻だけを取り除いたもので、糠や胚芽はそのまま残っている状態のお米です。

この精米するときに取り除かれる部分に食物繊維が多く含まれていることが、白米よりも玄米のGI値の方が低くなるカギとなります。

食物繊維には食後の急激な血糖値の上昇を抑える作用があり、まさにGI値の指標と直結しているため、低GI食品を選ぶには「食物繊維の量」が大切ということになります。

 

精製された「白色」よりされていない「茶色」を選ぼう

精米するときに取り除かれる糠や胚芽に多く含まれる栄養素は、食物繊維だけではありません。表を見ると分かるように、他にもビタミンB群、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル、鉄分などもあります。つまり、白米よりも玄米の方が数倍栄養が豊富ということです。

例えば小麦粉と全粒粉の関係も同様で、精製されていないものは「茶色」であるという特徴があります。精製された「白色」の食品(白米や小麦粉)よりも、されていない「茶色」の食品(玄米や全粒粉)を選んだ方が、栄養が豊富でGI値も低くなるため、ダイエットや健康維持において効果的と言えます。

 

主な食品におけるGI値の分類

GI値

主な食品におけるGI値の分類表を見ると、GI値が高い食品と低い食品にはそれぞれある特徴や共通点があることが分かります。

 

高GI食品の代表は「炭水化物」

基本的に、高GIの食品は炭水化物が中心です。食事の軸となる炭水化物ですが、高GI食品であることが多いため、食べる量や頻度には注意する必要があります。

主な炭水化物のGI値を比較すると、高い順に「食パン<精白米<そば<玄米」となり、炭水化物の中では玄米が比較的GI値が低い食品となります。

 

低GI食品の代表は「たんぱく質」

反対に、低GI食品の代表は、肉や魚、大豆製品、乳製品などのたんぱく質です。中でも納豆や豆腐などの大豆製品は、低GIであると同時に脂肪分も少ないため、ダイエットや健康維持におすすめの食品です。

 例えば、玄米を主食として、たんぱく質、野菜類と低GI食品の中から選んでいけば、血糖値の急上昇が抑えられる献立になるということです。

 

低GI食品は太りにくい体づくりに役立つ

日常的に低GI食品を選ぶようにすることで、そうでない場合と比べて太りにくい体質にすることができると言われています。ダイエットや健康維持にとって、体質から改善していくことはとても重要です。食品ごとのGI値分類表を参考に、普段から低GI食品を選ぶことを意識していくことが大切です。

 

低GI食品を選ぶときのポイント

低GI値

様々な食品において、GI値を左右するカギとなる特徴がいくつかあります。その特徴を踏まえて、低GI食品、高GI食品を簡単に見分ける方法をご紹介します。

 

でんぷん質でなはい食品を選ぶ

一見低GI食品のように思える野菜類の中でも、でんぷん質である「じゃがいも」や「かぼちゃ」は高GI食品です。でんぷん質であるということは糖質量が多いということでもあるので、注意が必要です。

 

食物繊維が豊富な食品を選ぶ

白米や玄米も70%以上がでんぷんでできていますが、それでもこの2つのGI値に差が出るのには、やはり玄米には食物繊維が多く含まれているからということになります。

 前述の通り、食物繊維を多く含む食品ほどGI値は低くなる傾向があります。全ての食品のGI値を知っていなくても、食物繊維が豊富な食材を選ぶというのが低GI食品を選ぶ上でのポイントとなります。

 

穀類は精製されていないものを選ぶ

白米と玄米、小麦粉と全粒粉のように、「白色」と「茶色」の食品で見比べるのも簡単に低GI食品を見極めるポイントです。穀類では、玄米や全粒粉のように、加工度が低くなるべく自然のままに近いものを選ぶのがポイントとなります。見極めも簡単なので、意識して選ぶ癖をつけると良いです。

 

GI値を下げるための方法とは

GI値の分類について理解できても、低GI食品のみを食べ続けるというのはあまり現実的ではありません。栄養バランスの観点から見ても、GI値のみにこだわらずに色々な種類の食品を摂取することが望ましいからです。

 そこで、GI値を下げるために効果的な、食事の摂り方についてのコツをご紹介します。

 

玄米などの低GI食品を選ぶ

まずは、なるべく低GIの食品を選ぶことです。一見、高GI食品の代表「炭水化物」を抜くことが効果的のように思いますが、実際にはその方法はあまりおすすめではありません。

なぜなら、炭水化物は体を動かすためのエネルギー源となるため、炭水化物を抜いた食事を長く続けることで、体力の低下や免疫力の低下などの影響が現れるからです。その他にも、栄養素にはそれぞれの役割があるため、極端な偏食や量を減らすことは理想ではありません。

 ある特定の食品を「抜く」のではなく、白米よりも玄米、といったように「選ぶ」または「置き換える」ことが大切です。

 

食物繊維と一緒に食べる

GI値の高い食品を食べるときは、同時に食物繊維を多く含む食品も一緒に食べるようにすることでも効果が期待できます。特に、水溶性食物繊維を多く含む海藻やきのこ類を積極的に食べるのがおすすめです。日々の食事に積極的に取り入れるようにしましょう。

 

食べる順番を意識する

食べる食品が決まったら、次は食べる順番にも意識を向けてみましょう。血糖値は食事の中で1番初めに食べるものの影響を受けやすいので、なるべく血糖値の上昇の度合いが低い食品=低GI食品から先に食べるようにするのが効果的です。

また、ゆっくり良く噛んで食べることで、唾液の分泌が活発になり消化吸収が良くなります。同時に血糖値の急上昇を抑える効果も期待できるので、特にやわらかくて消化の良い白米を玄米に置き換えるときには、ゆっくりと良く噛んで食べることを意識しましょう。

 

お酢を使用する

食事の中に大さじ1杯程度のお酢を取り入れることも、GI値を下げるポイントの1つです。お酢に含まれるクエン酸や酢酸には、糖の吸収を抑え食後の血糖値上昇を緩やかにする効果が期待できると言われています。低GI食品に、お酢を使ったメニューを組み合わせてみるのもおすすめです。

 

低GI食品「玄米」のおすすめの食べ方とメニュー

カレーライス

低GI食品で、かつビタミンやミネラル、食物繊維、鉄分など栄養が豊富な「玄米」は、ダイエットや健康維持においてぜひ積極的に取り入れたい食品です。取り入れ方は簡単で、いつもの白米をそのまま玄米に置き換えるだけでOKです。

玄米初心者の方でもより食べやすく飽きずに取り入れるために、おすすめの食べ方やメニューをご紹介します。

 

1皿で栄養バランスが整いやすい「チャーハン」

色々な具材や味付けが楽しめるチャーハンは、玄米での置き換えでもおすすめの食べ方です。玄米のみでは足りない栄養素も、他の具材で補いやすく、より栄養バランスの整った1皿になります。

また、チャーハンにすることで玄米特有のパラパラ感が活かされ、油のコクと風味が加わることで食べ応えも増し満足感もアップします。

 

野菜がたくさん食べられる「デリ風サラダ」

白米を玄米に置き換える食べ方に飽きたら、デリ風サラダとして食べるのもおすすめです。作り方は、まず炊きあがった玄米にレモンやはちみつ、塩などの調味料を加え、玄米ドレッシングを作ります。次に、下処理をした根菜やパプリカなどのお好みの野菜と、玄米ドレッシングと合わせるだけで完成です。

 手軽に作ることができるデリ風サラダは、たくさんの野菜を食べることができ、彩りも豊かな一品です。

 

玄米初心者でも食べやすい「カレー」や「雑炊」

玄米特有の風味や食感に抵抗がある方には、カレーや雑炊がおすすめです。カレーと合わせて食べることで玄米を感じにくいので、苦手な方でも比較的食べやすくなります。

 雑炊にすると、玄米に水分が含まれ食感が柔らかく仕上がる上、消化吸収も良くなります。食物繊維が豊富なきのこ類を加えると、さらに栄養価がアップしGI値も下がりやすくなるのでおすすめです。

 

まとめ

玄米

GI値について理解することは、健康維持やダイエット成功の近道になります。血糖値の上昇が緩やかな低GI食品を正しく選んで、積極的に日々の食事に取り入れていくことが大切です。

 そして、低GI食品の中でも特におすすめなのが「玄米」。玄米は、低GIなだけでなく、栄養も豊富に含まれています。白米よりも噛む回数が増えるので食べ応えがあり、さらに腹持ちが良いという点もおすすめしたい理由です。

 今まで食べていた白米をそのまま玄米に置き換えるだけで、ダイエットや健康維持を意識した食事への大きな第一歩へと繋がります。ぜひ、意識してみてくださいね。

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