ダイエットや筋トレをしている時の主食として推奨される玄米ですが、カロリーがどれくらいかご存じでしょうか?白米と比べると高い?低い?こちらの記事では、気になる玄米のカロリーについて紹介しています。
玄米のカロリー
玄米のカロリーは100gあたり346kcalです。炊飯後は、100gあたり152kcalで、お茶碗一杯分(150g)で228kcalです。そして、白米はのカロリーは100gあたり342kcalで、炊飯後は100gあたり156kcal、お茶碗一杯分(150g)234kcalになります。御覧の通り、実は玄米と白米はそんなにカロリーが変わりません。
玄米と白米のカロリーと三大栄養素の比較
カロリーを構成する栄養素は炭水化物・脂質・タンパク質の三大栄養素です。玄米と白米のカロリーと三大栄養素の内訳をみてみましょう。炊飯前の100gあたりで表示しています。タンパク質と脂質は玄米の方がやや多く、炭水化物は白米の方が多くなっています。
玄米 | 白米 | |
エネルギー(kcal) | 346 | 342 |
タンパク質(g) | 6.8 | 6.1 |
脂質(g) | 2.7 | 0.9 |
炭水化物(g) | 74.3 | 77.6 |
他の炭水化物食品との比較
カロリーの違いについて、他の炭水化物食品もあわせてみてみましょう。100gあたりのカロリーを表示しています。カロリーだけで見ると、玄米や白米はスパゲティと同じくらいになっています。
玄米(めし):152kcal
白米(めし):156kcal
食パン:248kcal
フランスパン:289kcal
全粒粉パン:251kcal
うどん(ゆで):95kcal
中華麺(ゆで):133kcal
そうめん(ゆで):144kcal
スパゲティ(ゆで):150kcal
もち:223kcal
玄米のカロリーが白米と変わらない理由
玄米と白米のカロリーはほとんど変わりませんでした。その理由としては、白米と玄米は同じ稲の実からできており、精米具合がちがうだけであることが挙げられます。お米のもとである稲の実は、胚乳と小さな芽と根がついた胚が「米ぬか」という皮で覆われており、米ぬかをさらに「もみがら」という皮で覆った構造になっています。玄米とは、稲の実から「もみがら」のみを除いた状態のもののことを指します。白米は玄米からさらに「米ぬか」と胚を取り除いたものです。もともとは同じものであり、一番カロリーを蓄えている胚乳はどちらも残っているので、カロリー的には大きな違いはありません。
カロリーは白米と同じでも健康食品と言われる理由
カロリーはほとんど同じなのに、なぜ玄米の方が健康食品と言われることが多いのでしょうか?その理由について確認していきましょう。
糖質の量が少ない
炭水化物は糖質と食物繊維から構成されます。糖質のみの量を比較してみると、100gあたりの糖質量は、文部科学省HPに掲載されている日本食品標準成分表2020年版によると玄米が78.4g、白米が83.1gとなっています。玄米の方が白米より糖質の量が少ないのです。糖質はわたしたちが活動するために必要な糖質ですが、過剰摂取では太りやすくなるという問題点があります。食後に血糖値が上昇すると、インスリンというホルモンが分泌されて、血液中のグルコースを細胞内に取り込みます。インスリンは筋肉や脂肪の合成を促す役割も持ちます。糖質を摂りすぎてしまうと、その分血糖値も急激に上昇してしまうので、インスリンの分泌量も増え、脂肪の合成が進んでしまうため、太りやすくなってしまいます。また、糖質はエネルギー源となるため食べても消費されますが、過剰に摂取すると、消費し切れずに余ってしまいます。余ってしまった糖質は中性脂肪に変わり、糖質が枯渇してしまった時に備えて、脂肪という形で非常用のエネルギー源としてからだに蓄えられます。玄米は白米よりも糖質の量が少ないので、太りにくいという意味で健康的な食品であると言えます。
食物繊維が多い
食物繊維には水に溶けやすい水溶性食物繊維と、溶けにくい難消化性の食物繊維があります。水溶性食物繊維は、小腸での栄養素の吸収を穏やかにし、食後の血糖値の上昇を抑えたり、コレステロールを吸着させて血液中のコレステロール値を下げたりしてくれる効果があります。難消化性食物繊維は、水分を吸収して便の容積を増やし、大腸を刺激することで排便を促してくれます。どちらの食物繊維も大腸で腸内細菌のエサとなり、善玉の腸内細菌を増やすため、腸内環境の改善に役立ちます。これらの役割から、生活習慣病の発症や乳がん、胃がん、大腸がんの発症リスクの低下に役立つとの報告が多くあり、健康的な食品と言えます。
ビタミンB群が豊富
ビタミンB群には、ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種類があります。ビタミンB群は、栄養素をからだの中で代謝する(利用できる形にする)ために必要な栄養素です。例えば、糖質からからだを動かすためのエネルギーを作る際にはビタミンB1やB2、ナイアシン、パントテン酸が必要です。中性脂肪を分解して脂肪酸をエネルギーとして消費するためにはビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸が、タンパク質の代謝にはビタミンB2やビタミンB6が使われます。特に筋トレやダイエットをされている方はビタミンB群の消費量が多いので、主食に玄米が推奨されることが多いです。
ミネラルが豊富
玄米には、カリウムやマグネシウム、鉄などのミネラルも豊富に含まれています。カリウムはからだの中の水分バランスを整えるのに必要な栄養素です。塩分を摂りすぎるとむくんだり、血圧があがってしまうので、バランスをとるためにカリウムは余分な塩分を追い出してむくみや血圧を改善する効果があります。また、神経の興奮の伝達や筋肉の収縮などにも関わっています。マグネシウムは、からだの中の様々な働きを助ける栄養素です。エネルギーの生産や栄養素の生合成・分解以外にも、遺伝情報の伝達、神経伝達、筋収縮の制御、血圧の低下作用、血栓を作りにくくするなどの働きがあります。鉄は、赤血球の材料になり、全身に酸素を届ける役割があります。また、からだの機能をサポートする酵素の構成にも関わっています。鉄が欠乏すると貧血や運動機能、認知機能の低下を招きます。玄米には、これら以外のミネラルも含まれており、からだの機能の維持に必要な栄養素がいくつも含まれています。
低GI食品である
玄米は低GI食品という分類にあたります。GIとはGlycemic Index(グリセミック・インデックス)の略で、食後の血糖値の上昇を示す指標のことです。食品に含まれる糖質の吸収度合いを示し、摂取2時間までの血液中の糖の量を測って指標にしています。血糖値の上昇が急激なものほどGI値が高く、緩やかなものほど低くなります。血糖値が急激に高くなるほど、インスリンというホルモンが分泌されて脂肪の合成が促進されます。玄米は低GI食品であり、食後の血糖値の上昇が緩やかなので、インスリンの過剰な分泌を防ぐことができ、太りにくくなっています。
全粒穀物である
玄米は全粒穀物という食品に分類されます。あまり馴染みのない言葉かも知れませんが、健康にとても良い食品です。
全粒穀物とは
白米や小麦粉のように、わたしたちが普段食べている穀類は殻や胚などを除去して、食べやすくされています。全粒穀類とは、玄米のように殻や胚などの部位を除去していない穀類や製品のことを言います。
世界的に全粒穀物が推奨されている
実は、この全粒穀物は世界的に摂取が推奨されている食品なのです。健康的な食事を評価する指標がいくつかあります。代表的なものとしては、地中海食スコア(Mediterranean diet score:MDS)やアメリカの食事指針を反映したHealthy Eating Score:HEIなどがあります。これらの指標を耳にしたことがある人は少ないかも知れませんが、地中海食が健康的であるなどは聞いたことがあるのではないでしょうか?これらのような海外の食事評価指標では全粒穀類を多く食べるほどスコアが高く(健康的であるという意味)なります。このように、全粒穀類は健康を促す食品として世界的に摂取が推奨されているのです。
全粒穀物はいろいろな病気のリスク低下につながる
健康的な食品、というと抽象的でわかりにくいかも知れません。具体的には、全粒穀類の摂取が2型糖尿病や心臓病、脳卒中のリスク低下に関わっていることや、原因の病気を問わないすべての死亡率の低下に関わっていることなどが報告されています。いろいろな病気のリスク低下につながるため、健康的な食品として推奨されているのです。
玄米を食べるメリット
カロリーは白米と同じ玄米ですが、玄米を食べるメリットは多くあります。どのようなメリットがあるのか、それぞれ確認していきましょう。
太りにくい
まずは太りにくいというメリットがあります。玄米は低GI食品であり、血糖値の急激な上昇を抑えられるため、脂肪合成を促すインスリンの過剰な分泌を避けられます。また、玄米は米ぬかが含まれている分、白米よりも食物繊維が多いため消化と吸収に時間がかかります。そのため、腹持ちがよくなります。また、白米と比較すると硬い炊き上がりになるため噛む回数が自然と増え、満腹感が得やすく食べ過ぎや間食を防ぎやすくなります。食物繊維が豊富であるというのも、より満腹感を得やすくなります。
便秘の解消
食物繊維が便秘の解消をサポートしてくれます。水に溶けにくい難消化性食物繊維は、水分を吸収して便の容積を増やし、大腸を刺激することで排便を促してくれます。水溶性・難消化性どちらの食物繊維も大腸で腸内細菌のエサとなり、善玉の腸内細菌を増やすため、腸内環境の改善に役立ちます。排便を促してくれるだけでなく、便秘を起こしにくい腸内環境に近づけてくれます。
からだに必要な栄養素を効率的に摂れる
玄米には糖質・脂質・タンパク質の三大栄養素だけでなく、ビタミンB群、ミネラル、亜鉛などの微量栄養素も含まれています。白米や普通のパン、パスタなどの主食はほとんど炭水化物で構成されていますが、玄米は色々な栄養素を含んでいるので、効率的にからだに必要な栄養素を摂ることができます。
玄米を健康的に食べるためのポイント
健康や美容を考えると非常に有効な玄米ですが、その効能を引き出すにはポイントがあります。どのように玄米を日々の生活、食事に取り入れると良いのか、そのポイントについて確認しておきましょう。
食事のバランスを整える
まず、大前提として主食・主菜・副菜を揃えてバランスよく食べましょう。食事のバランスが崩れていると、太りやすくなったりなど、健康を維持するのが難しくなります。主食・主菜・副菜の3つを意識すると、食事の偏りが起こりにくくなります。玄米はお茶碗軽く1杯を目安に、足りない分は副菜を増やしたり、植物性のタンパク質を増やしてみましょう。
食べ過ぎない
健康の維持に役立つ食品でも、食品も食べ過ぎはからだに負担を与えます。玄米は歯ごたえが硬めで、食物繊維も豊富なので、食べ過ぎると胃腸に負担を与える可能性があります。また、冒頭で説明した通り、カロリーは白米とほとんど変わりません。食べ過ぎるとカロリーや糖質の摂りすぎにつながりますので、お茶碗一杯分を目安に食べすぎには気を付けましょう。
よく噛む
きちんと噛められていないと、消化不良により腹部の不調が生じやすくなります。また、血糖値の急激な上昇にもつながりやすいです。よく噛んで食べることを意識しましょう。1食15分以上を目標にしてください。どうしてもはやくなる場合は、箸を置いて休憩しながら食べると良いでしょう。
まとめ
こちらの記事では玄米のカロリーについて説明しました。一見、カロリーは白米と変わらないので、食べるメリットがないように思いますが、健康的であるといわれる理由を知るとメリットがたくさんあることがわかります。あなたも健康維持のための、玄米食を始めてみてはいかがでしょうか?