玄米は栄養が豊富?健康に良いと言われる理由と注意点を解説

玄米

玄米には、何となく「健康に良さそう」「栄養がありそう」というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。結論から言うと、イメージの通り、玄米には様々な栄養素が含まれていて、それによる健康への効果も期待できる優れた食品です。

では、具体的にどのような栄養素が含まれていて、どんな効果があるのでしょうか?この記事では、玄米が『完全栄養食品』とも言われている理由と、おすすめの食べ方、また併せて摂取する上での注意点などを管理栄養士が解説します。

 

玄米が健康に良いと言われる理由とは?

玄米

そもそも玄米とは、稲の実からもみ殻だけを取り除いたもので、ぬかや胚芽はそのまま残った状態です。一方、精白米とは、稲の実からもみ殻、ぬか、胚芽を取り除いたもので、その行為を精米と呼びます。

実は、この「精米する時に取り除かれる部分」に、優れた栄養素が豊富に含まれています。そのため、精白米を食べるよりも玄米を食べる方が、より無駄なく栄養素を摂取することができるのです。

 

玄米は完全栄養食として注目されている

玄米は、精白米よりもビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富に含まれていて、健康を保つ上で必要とされている栄養素のほとんどが摂取できるため、「完全栄養食品」とも言われています。

もちろん、完全栄養食だからといって、それだけ食べていれば良いというものではなく、積極的に日々の食事に取り入れることで栄養バランスが整いやすいというものです。

 

玄米に含まれる栄養素とその効能は?

玄米

玄米に豊富に含まれる栄養素は、ビタミンB1、ビタミンB6、鉄分、マグネシウム、食物繊維です。それぞれの栄養素が具体的にどのような働きを持つのか、期待できる効果と併せて見ていきましょう。

 

ビタミンB1で糖の代謝をサポート

ビタミンB1は、糖を分解しエネルギーに変換する時に必要なビタミンです。そのため、甘いものや主食、アルコールを多く摂る方は、特に積極的に取り入れたい栄養素の1つとなります。

また、運動によりエネルギー消費が多い方も、よりビタミンB1が必要になります。

ビタミンB1が不足すると、糖をエネルギー源としている脳や神経に影響が現れます。十分なエネルギーが作り出せなくなることで、疲れやだるさを感じるようになる可能性もあるので、こういった症状がある場合はビタミンB1不足を疑ってみるのも良いでしょう。

 

ビタミンB6でアミノ酸の働きをサポート

ビタミンB6は、主に体内でアミノ酸の働きをサポートする役割を持ちます。また他にも、免疫機能を正常に働かせる役割や、皮膚の抵抗力を増進させる役割、赤血球中で酸素を運ぶヘモグロビンを合成する役割など、人体に欠かせないビタミンの1つです。

ビタミンB6が不足すると、皮膚炎や口内炎、舌炎、貧血、免疫機能の低下などの症状が現れる可能性があります。

 

鉄分で貧血の予防

鉄分は、赤血球中のヘモグロビンの構成成分となり、全身に酸素を運ぶ役割を持ちます。そのため、鉄分が不足すると酸素が十分に供給されにくい状態になり、鉄欠乏貧血を引き起こしやすくなります。すると、集中力の低下や、頭痛、食欲不振、疲労感などの症状が現れます。

成長期の子どもや、月経のある女性、妊娠中や授乳期の女性は特に不足しやすいので、より積極的に摂りたい栄養素の1つになります。

食品中に含まれる鉄分は、吸収されやすい「ヘム鉄」と、吸収されにくい「非ヘム鉄」の2つに分けられ、玄米は後者の「非ヘム鉄」になります。しかし、「非ヘム鉄」は動物性たんぱく質やビタミンCと一緒に摂ることで吸収率をアップさせることができます。

玄米と一緒に、たんぱく質を多く含む肉、魚、卵、ビタミンCを多く含む野菜、果物などを組み合わせて食べるのがおすすめです。

 

マグネシウムで歯や骨を丈夫に

マグネシウムは、カルシウムやリンと共に歯や骨を形成する働きや、様々な代謝をサポートする働きがあります。

不足すると、骨粗鬆症や不整脈、虚血性心疾患、高血圧、筋肉のけいれんなどを引き起こす他、神経過敏や抑うつ感などが現れることもあります。

 

食物繊維で良い腸内環境づくりをサポート

食物繊維は、整腸作用を持ち、便通を整えて便秘を防ぐには欠かせない栄養素です。他にも、脂質、糖、ナトリウムなどを吸着して身体の外に出す働きがあるため、これらを摂りすぎることで引き起こされる肥満や脂質異常症、糖尿病、高血圧などの生活習慣病の予防や改善にも役立ちます。

食物繊維は、「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2つに分けられます。水に溶けやすい「水溶性食物繊維」は、食後の血糖値の上昇を抑える、コレステロール値を低下させる、ナトリウムを排出し高血圧を予防するなどの効果が期待できます。

水に溶けにくい「不溶性食物繊維」は、水分を吸収し便の容積を増やすことで、大腸を刺激して排便を促したり、有害物質を吸着させ一緒に排出したりする効果も期待できます。

玄米にはこの両方の食物繊維が含まれます。特に不溶性食物繊維が多く、良い腸内環境づくりをサポートしてくれます。

 

ビタミンやミネラルが豊富で美容効果にも優れている

健康に良いとされている玄米ですが、実は美容効果にも優れています。代謝が悪いと肌のターンオーバーが上手くいかずにシミやくすみの原因にもなりますが、玄米に豊富に含まれるビタミンやミネラルが体内での様々な代謝をサポートすることで、美肌へと導いてくれます。

また、食物繊維が身体に溜まりがちな便や老廃物を排出してくれるため、健康的で肌荒れ知らずな身体づくりにも役立ちます。

 

玄米と精白米の栄養素量とカロリーを比較

表

玄米と精白米の栄養素量とカロリーを比較すると、上記の図表のようになります。

 

栄養素量の違い

玄米は、精白米に比べてビタミンB1は5.1倍、ビタミンB6は3.7倍、鉄分は2.6倍、マグネシウムは4.7倍、食物繊維は6倍も多く含まれているということが分かります。前項で解説したように、これらの栄養素には健康を保つ上で欠かせない様々な働きがあります。

これだけの差があるとなると、精白米よりも玄米のほうが健康に良いと言われるのも、納得がいくでしょう。

 

カロリーの違い

玄米は、精白米に比べてビタミンB1は5.1倍、ビタミンB6は3.7倍、鉄分は2.6倍、マグネシウムは4.7倍、食物繊維は6倍も多く含まれているということが分かります。前項で解説したように、これらの栄養素には健康を保つ上で欠かせない様々な働きがあります。

これだけの差があるとなると、精白米よりも玄米のほうが健康に良いと言われるのも、納得がいくでしょう。

 

玄米のおすすめの食べ方

炊飯

玄米は、精白米と比べると、香ばしさと米ぬかの独特の香りがあります。また、パサパサとした食感があり、これらのような玄米ならではの特徴が苦手と感じる方もいるでしょう。

また、玄米を炊飯する時に行う「吸水」が十分でないと、炊きあがりが硬く仕上がってしまいます。噛みごたえがあるのが玄米の特徴でもあり、上手に炊けていても少し硬さを感じることもあるかもしれません。

このような場合でも、なるべく美味しく、また飽きずに食べることができるおすすめの食べ方をご紹介します。

 

カレーやチャーハンにするとパサパサ感が気にならない

カレーや丼などの汁気があるメニューに組み合わせることで、独特の香りやパサパサ感があまり気にならず食べやすくなります。また、チャーハンにすると玄米の1粒1粒が油でコーティングされ、同様の効果があります。

玄米のパサパサ感が苦手だと感じる方は、ぜひ試してみてください。

 

玄米粥や雑炊にすると消化しやすくなる

玄米は、研いだ後5~6時間以上浸水して十分に吸水してから炊飯する必要があり、この吸水が不十分だと、硬く仕上がり消化不良の原因にもなり得ます。

玄米粥や雑炊にアレンジすることで、十分な吸水に加えてさらに煮る工程が加わるので、その分噛み砕きやすく消化もしやすくなります。

 

玄米に不足している栄養成分もある?

注意

完全栄養食とも言われている玄米ですが、全ての栄養素が十分に含まれているわけではありません。不足している栄養素もあるので、それぞれの効能や多く含まれる食品などについてみていきましょう。

 

ビタミンA

目や皮膚の粘膜を健康に保つことや、抵抗力を強めるなどの働きがあります。不足することで、薄暗いところでものが見えにくくなったり、皮膚の乾燥や肥厚などを引き起こします。

ビタミンAは、動物性食品の特に肝臓や卵に多く含まれています。鶏や豚のレバー、うなぎ、マグロ、鶏卵などを摂取すると良いです。

 

ビタミンC

ビタミンCは、骨や腱などのもとになるコラーゲンの生成に欠かせない栄養素です。不足すると、血管がもろくなり出血しやすくなったり、抵抗力の低下などを引き起こすこともあります。

また、近年ではビタミンCの持つ抗酸化作用が注目され、動脈硬化の予防や老化防止に役立つとも言われています。

ビタミンCは、玄米にはほとんど含まれていません。そのため、多く含まれる果実類や野菜類、いも類などと一緒に食べると良いでしょう。さらに、ビタミンCは鉄分の吸収率をアップしてくれるため、玄米に含まれる鉄分をより効率的に吸収することができます。

 

ビタミンD

ビタミンDは、骨の材料となるカルシウムやリンの吸収を促進させます。不足することで、健康な骨が作られなくなってしまうため、子どもの場合はくる病、大人だと骨軟化症などを引き起こします。

ビタミンDは、きのこ類や、魚介類、卵類、乳類に多く含まれています。脂溶性であるビタミンDは、炒め物や揚げ物などで油と一緒に食べることで吸収率をアップさせることができます。

 

ビタミンK

ビタミンKは、血液の凝固に関わる栄養素で、不足すると出血が止まりにくくなるなどの症状が現れます。また、丈夫な骨作りにおいても必要不可欠です。

ビタミンKは、様々な食品中に含まれることや、腸内細菌によって合成することができるので、健康な人においては不足することはあまりありません。ただし、新生児や高齢者ではビタミンK欠乏が起こることもあるため、注意が必要です。

特に多く含まれる食品は、藻類や緑黄色野菜、納豆などです。脂溶性なので、油と一緒に食べることで吸収率がアップします。

 

ビタミンB12

ビタミンB12は、アミノ酸や核酸の代謝、正常な赤血球の産生など、体内の様々な機能の維持に役立っています。不足すると、貧血やしびれ、疲労、知覚異常などの症状が現れます。

ビタミンB12は、野菜や果物などの植物性食品には含まれていません。反対に、魚介類や肉類、卵類、乳類、藻類などに含まれるため、これらの食品を積極的に摂取しましょう。

 

玄米に不足している栄養成分を補うポイント

食事

玄米に不足している栄養素を補うには、それらの栄養素が豊富に含まれている食品を組み合わせてメニューを組むことがポイントとなります。

 

魚や味噌汁などを一緒に食べる

1食の献立を組む時には、定食スタイルを心がけると栄養バランスが整いやすくなります。玄米を主食とし、魚や肉の主菜、野菜をたくさん使った副菜、汁物を用意すると、玄米だけでは不足してしまう栄養素も、まんべんなく補うことができます。

品数を多く用意するのが難しい場合は、具だくさんの味噌汁もおすすめ。豚肉が入った豚汁や、魚が入ったあら汁、卵が入ったかきたま汁などは、たんぱく質も摂取できます。野菜がたくさん摂れるのもおすすめポイントです。

さらに、肉よりも魚の方が脂質が少ないことが多く、カロリーが抑えられる傾向があります。また、魚に含まれるDHAやEPAには中性脂肪やコレステロールを低下させる作用があることなどから、肉だけでなく魚も主菜として意識的に取り入れていくと良いでしょう。

 

まとめ

玄米

玄米には様々な栄養素が豊富に含まれ、まさに「完全栄養食」と言われているほど優れた食品です。独特の香りやパサパサ感にどうしても苦手意識を持つ方もいるかもしれませんが、ご紹介したおすすめの食べ方などを参考に、美味しく食べられる方法を見つけてみると良いかもしれません。

そして、完全栄養食といっても、決して玄米だけ食べていれば良いというわけではないこともきちんと理解しなければなりません。玄米に足りない栄養素も補うために、定食スタイルを心がけることや、具だくさんの味噌汁などを合わせるなど、より多くの食品をまんべんなく摂取することを意識しましょう。

近年では、スーパーやコンビニエンスストアなどでも手軽に玄米が手に入れられるようになりました。ぜひこういった商品にも目を向けて、積極的に日々の食事に取り入れていきたいですね。

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